英国留学体験記
                 
文責:石本 志高(人間・環境学研究科博士後期課程)


 
現在私は、英国に在住し、オックスフォード大学大学院に在籍しています。昨夏に帰京した際、青谷さんに勧められてこうして重い手を動かしてみることにしました。

 
英国留学を志している人なら知っている通り、英国は日本(しいては米国)とは全く異なった独自の教育システムを運営しています。更に、英国内でも、イングランドとスコットランドではまた違うシステムを導入しているようです。どんな教科を何時やるかや、何時生まれるとどの学年に相当するか等、複雑なので割愛し、話を大学、大学院に絞ります。

 
大きな違いと言えばやはり、英国の大学生は通常3年で修了し、日本のように画一的な修士2年コースというものが存在しないことでしょう。私の分野の場合は、3年で大学の学部課程を修了した後、4年生を経て、いきなり大学院博士課程に放り込まれます。そして留学生の内ほとんどの人は、大体4年研究した後、博士号を手に母国に戻ったり、欧州で次の研究、就職先を探したり、米国へ行ったりするようです。日本より数年早く博士号を取ることが大体当たり前のようです。これらの事情は、各大学によってまちまちなので、要情報収集です。

 
カリキュラムの進度は、学部卒業時点、修士修学中で日本の方がやや進んでいる感じですが、修士修了、博士1年時でほぼ同じになるようです。(勿論、専門によって違うでしょう。)内容自体にそれほど躊躇する必要はありませんが、全てがイギリス英語で行われること、日本、英国共に、一般的には相互の学位を認可しあっていないので、学士号取得者と言えど、大学入学前のファウンデーションコースを勧めたりする場合さえあることも覚えておきましょう。その大学のオファーを貰えるかどうか、つまり合否は、大学(大学院)のコースごとに違います。もっと正確に言うと、面接官ごとに判断が違うので、できるだけ日本にいる内に、留学生フェアなど、実際の面接官と触れ合う機会を利用することをつ・よ・く勧めます。対面で話して判断する。これは大学、大学院に関わらず英国教育一般の認識かも知れません。

 
さて、実際の入学審査ですが、基本的には書類審査と、あれば多少の筆記、そして面接になります。面接がほとんどの評価をしめます。入学申し込みをしたら、後は面接だけという場合もあるので、繰り返しになりますが、本番は面接であるということを心得てことにかかりましょう。様々な Why ...? に答えるよう、少なくとも日本語で説得できるように十分自分の中で理由づけしましょう。できれば全て英語がいいですが、上辺だけの会話はすぐ分かるのでどちらでもあまり関係ないかも知れません。あまりに英語が下手すぎると駄目ですが、基準としている英語のレベルに達していなくても、この理由、動機がしっかりとしていれば、入学許可を与えてくれるようです。当地の大学新入生などに尋ねると、一番の要点はやはり Confidence にあるようです。(裏地のないそれは意味がないですが。)また、はっきり言うと、これらがしっかりしていなければ、あまり留学する意味はありません。自分の文化を保ちつつ異文化に浸り続けることはこれら以上に厳しいことです。

 
英国留学で、もう一つ重要なことがあります。平たく言えば、先立つ物、お金です。これが保証されていない限り、入学さえ許可されないことがほとんどでしょう。そして、悲しいかな、日本人を対象にした奨学金はこの国では稀です。もともと留学生の多い国(私の大学は実に40%以上が留学生)なので、外国人一般を対象にした政府主催のものは、割合としても額としても少なく、十分でありません。大学ごと、更に言うと、カレッジごとに利用できる奨学金が違うので、十分に調べつくしましょう。この時世なら、インターネットを使わない手はありません。勿論、メイルも。直接大学にメイルを送って聞きましょう。誰でもところ構わず迷惑かなと少し思える程度まで。日本から奨学金を持ち出すのはどうかというと、ブリティッシュカウンシル(英国政府関連ですが日本で受験可)、後は国を問わない奨学金に限られます。(他にもあるかも知れません。調べましょう。)英国の高い授業料を考えると、この場合、両親からの援助も必要になるかも知れません。兎に角、調べて、積極的に交渉しましょう。

 
こちらに来て、更に強く実感したのですが、この国では自己主張しないと生きていけません。使用した電気の量を間違えて請求してきたり、使ってもない電話の請求書が来たり、さらには、カードの名義を間違えてプリントして送ってきたり。そういう土壌なので、主張すること、されることに慣れており、そうやって環境を良くしていくという哲理が流れています。日本のお役所や大学のように「決められていないからできません」と言われても、食い付いていくのが普通なのでそうしましょう。相手が、教授であろうが大臣であろうが(クィーンは別)積極的にコンタクトするのみです。頑張りましょう。お互い。


                    
午後4時、テムズバレー、夜の闇に包まれる旧館にて