© 1999 Masayasu AOTANI
日本の国際化
<中> システム改革と国際貢献京都大学留学生センター助教授
青谷正妥(あおたにまさやす)三番目の「社会システムの改革」が必要な理由は、他国人も社会の一員として受け入れられなければ真の国際化とは言えないからです。法律等も含め、平等な立場での双方向的な国際交流のための受入態勢が整っていないと、国際問題にまで発展しかねません。
1980年代初頭、留学生10万人計画の発端となった、留学生数の不均衡に関するアメリカ側からのクレームは、教育関係者の記憶に新しいところです。自分は社会学者ではないので、具体的・日常的な提案をします。教育の分野では、6ヶ月から1年日本に滞在する短期留学生も一般学生と同等に扱う事、日本への留学手続きを簡略化する事、外国人にのみ任期制の有る現在の教官雇用制度を見直す事、英語の出来ない事務官を英語を要する部署に配置しない事等が目立った問題です。例えば短期留学生の多くは、特別聴講生と呼ばれ、学割等で一般学生と同じ扱いを受けません。これは、全ての学生を平等に扱う米国などの批判を度々受けています。又日本への留学手続きの提出書類の量はヨーロッパ諸国の10倍以上で、応募するだけでそのエネルギー消費は大変な物です。外国人教官の雇用については、任期の有無は大学の自由ですが、事実上殆どの教官が任期付きで雇われており、日本人の雇用との違いはしばしば摩擦の原因となっています。事務官の件は説明不要。非常識としか言い様が有りません。教育以外では、公文書等に最低英語の抜粋を付けるなど日本語が出来ない人のサポート体制を整え、外国人居住者からのフィードバックを得やすくする事、能力の有る外国人の雇用を奨励する事、優秀な外国人の永住権や市民権の取得を容易にする事、文化交流等を趣旨とするボランティア活動を奨励・活性化する事などが有ります。要は、行政レベル及び民間レベルでの努力を上と下からトップダウン及びボトムアップで同時に進行させる事だと思います。政府の方針といった形でもっぱらトップダウンのアプローチであった為に、これまでの国際化の努力は空回りし続けてきたのではないでしょうか。最後に「国際社会への参加・貢献」ですが、国力に応じた海外援助が期待されている上に、友好関係を保つのに海外協力程有効な手は無く、国レベルでの国際社会への貢献は重要です。様々な形で国際社会に参加する事によってのみ、国家レベルでの国際性が培われるとも言えるでしょう。ただ、ここで特に強調しておきたいのは、大学の行う学術交流や学生交換、非営利団体の行うボランティア活動等、国際的貢献というのは日本国内でも又個人・民間レベルでも十分出来るという点です。この良い例ですが、日本人駐在員の多いニューヨークでは、
PTAがボランティアとして英語の出来ない日本人子弟の面倒を見ています。3〜4年で日本に帰るのを知っているのに助けてくれるのです。皆さんも、身近に居る外国人を手助けする事によって、国際親善への扉を開いてみませんか。