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世紀末の京大

その三:人類の進化

最近の京大生は、前立腺肥大の中高年から見て不甲斐無いと思えたり、物足りないと感じたりする事が有るのは事実です。しかし、非常に良い意味で昔とは違うとか、頼もしいとか感じる事も多々有ります。しかも表層的な違いは兎も角、賢くて進取の気象に富むという、伝統的な京大生の特長はしっかりと受け継いでくれているので、教官として正に意気に感ずる事も多いのです。

これまでは彼らの軽い側面にスポットライトをあてて来ましたが、今回は一転して堅めの話題。大学の国際化を中心に、「やっぱり京大生」又「流石は京大生」と思わせるような、今年の新入生の活躍の記録です。

国際交流:体験版

先学期、国際交流や大学の国際化をテーマとした一回生用のゼミをやりました。題して「国際交流:体験版」。ゼミと言っても総勢80人というモンスターで、自主活動を中心としてクラブ活動的にやる事にしました。日本の学生さんはなかなか自分から進んで提案したりしてくれないのではないかと案じていましたが、意に反して一人二人と手が挙がります。しかも進んで皆の前でマイクを持って発表する人まで居ます。20年前の言葉で言えば「現代っ子」はやっぱり凄いなと感心してしまいました。

基本がクラブ活動ですから、学生さんのやりたい様にして貰ったところ、幾つかのグループに分かれて活動する事になりました。イベントのグループ、英語教育のグループ、そして調査・報道・広報グループです。

各グループは、イベントを通じた国際交流、より実用的な能力別英語クラスの実現、京大生の国際性や国際化活動の調査と報告を目標として、時には夜遅くまで頑張りました。無気力・無関心と形容される事の多い今様の学生さんですが、つぼに嵌まればやる物だと本当に嬉しくなってしまいました。又、一回生の皆さんとの交流やアイデア交換を通して、京大生はやっぱり賢いという事も良く分りました。

英語力

国際化の後れ、異文化理解力の欠如、慢性的内弁慶症候群、computerの普及の遅れ等、日本が直面する多くの問題の裏には外国語力、特に英語力の欠如という根本的な問題が潜んでいます。アメリカで活躍している日本人達の多くは、英語力の無さに伴う日本の国際化やハイテク導入の後れに大きな不安を感じており、つい先日もLos AngelesJATVの社長と、日本のマスメディアが何故internetを使わないかという話題に花を咲かせました。

世紀末になっても、この英語力の無さは相変わらずで、京大生も例外ではありません。十分な英語力を備えた人は、正に数える程だと思います。しかし乍ら、こんな惨状の京大でも、少しずつ事態は好転しているのです。

自分の担当プログラムの一つに、協定校への留学が有り、英語圏の大学の殆どがTOEFLで最低550点を要求しています。自分の学生時代には、500点と言えばかなり出来る人でしたから、足切り点の高さを非常に心配しました。ところが蓋を開けてみると、550点どころか600点以上の人も多数居たのです。又自分の担当した“Quantitative Management Science”という留学生用の英語講義にも30名程の日本人学生の皆さんが参加し、口頭発表もなんなくこなしてくれました。

ここ一二年で急に学生さん達の英語力が向上したと言われており、実際自分の周りでも、こと実用英語に関しては、一二回生の方が上級回生より出来ると言う逆転現象も見られます。とはいえ、日本の実用英語教育は未だに黎明期を脱していず、作文も英語で書いてもらうと途端に大学生とも思えぬ幼稚な物しか書けなくなるのが普通です。

Friends

そんな中で、京都大学では、国際交流の促進と日本人の英語力の向上を目指して、Friendsというmailing listを発足させました。国際交流に興味の有る人なら、国籍を問わず誰でも入れるリストですが、400名の登録者中150名が一回生と、国際交流に対する新入生の積極性は、目を見張る物が有ります。但し、使用言語が英語である為postingsの数は非常に少なく、寂しいリストになっています。留学生の皆さんですら、アジア人が圧倒的に多く、英語より日本語の方が得意な人が多いので、問題はなかなか深刻です。Friendsをより活発なリストにする為、アメリカ在住の方々にも是非入って頂きたいと考えて居ります。登録方法等はhttp://aoitani.net/Friends.htmlに詳しく出ていますので、興味の有る方はどうぞ。日本語力は不要です。

国際化の主役

まだまだ不十分とはいえ、人類の進化と言う大袈裟な言葉を使いたくなるくらい、最近の若者の国際性は向上しています。しかし乍ら、少子化の影響で遺伝子のプールがどんどん小さくなっている日本では、若い層を中心に、更に世界に門戸を広げる努力を続けぬ限り、社会的にも生物学的にも21世紀に向けての進化の先行きは大いに危ぶまれます。

自分はこの春、京都大学新聞の新入生歓迎版に「新入生は京大国際化の主役」という文を載せて頂きました。この期待に応えて、今年の一回生は、留学生も巻き込んで、イベントに広報活動にと八面六臂の大活躍です。その活動の様子等もこの欄で紹介したいと前から思っていました。実は、上記のゼミの調査・報道・広報グループが、このcolumnに登場しようと数ヶ月前より手薬煉引いて待っています。来月は出張ラッシュですので、自分は御休みを頂き、ゼミの学生さん達に登場して頂きますので、宜しく御願い致します。

 

 

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