© 1999 Masayasu AOTANI
世紀末の京大
その二:辛口セクシーボーイ
先月号で混性語の話をしました。女子学生が「めし」とか「おれ」とか言うのがそれですが、混性現象は言葉に止まりません。自分自身が男だからか、自分には男の女性化の方が遥かに目立ちます。例えば…
京大の男子学生はロックスター
男女を問わず、京大生の服装が目立って良くなった話は既にしましたが、女の子がファッションモデルなら男の子はロックスター。皆さんは若者に人気の
GLAYというロックグループや、自分のあだ名の一つM.S.Revolutionの出所にもなっている女子高生のアイドルT.M.Revolutionを御存知ですか。最近京大の構内にああいう出で立ちの男達が出現し、実際T.M.とGLAYのファンで、中年も入れるGRAYというグループまで洒落で作っている自分は、毎日楽しくて仕方が有りません。服装だけなら、女性化現象と言うよりは、昔から有る単なる若者のスター願望・憧憬と片付けられなくもないのでしょうが、自分が感心するのは男子学生のmakeup。デーモン小暮の様などぎついのを、学園祭の折に遊びでやって来る奴は自分の学生時代にも居ました。しかし、今の男子学生のさらりとした化粧は全くの日常的行為。Makeupも、まるでサラリーマンのネクタイの様に、毎日毎日欠かさず続けるとなると遊びでは済まされません。しかもそれが又なかなか御上手なのです。ガン黒の次は白い肌の流行とやらで、白粉の類を顔に塗り付けた男子学生が時計台の周りをうろうろ。その昔、瓜実顔で色白の公家達が歩いたに違いない都大路を彷彿とさせるとは、時計台にオフィスの有る長尾眞総長のジョークだそうです。「君、君、ついてるよ」
四月から留学生センターの南方一キロに有る公務員宿舎に入居。それは良かった物の、ガス会社と契約する事を知らなかった為、暫くシャワーは無し。良い機会だというので、ほぼ
20年ぶりに体育館のシャワーを浴びに行きました。勿論、男用の方に入ったのですが、男ばかりなのに前をタオルで押さえている奴が何人も居ます。学生時代、シャワーの掃除係は年配のおばちゃんでした。ひっきりなしに利用者が有り、待っていてはきりが無いのでしょう、いつでも中までどんどん入って来て掃除をしていました。我々も母親よりまだ年上のおばちゃんの前で、平気で振りチン。「今日も元気だ!」と訳の分からぬ事を言っておばちゃんをからかう奴も居て、和やかな雰囲気。お喋り好きの明るいおばちゃんで、或る日しげしげと自分の股間を見つめているフットボール部の学生さんに、「君、君、ちゃんと付いてるよ」と言ったとか。そういう自由奔放なシャワー室だったのですが。冬でも水しか出なかった頃の、しかもシャワーヘッドが殆ど取れてしまっていた男性的(?)な鉄管シャワーが懐かしいというのも、多分中年の証明でしょう。シャワーの次は風呂の話題。これは
M.S.Revolutionの大分講演での御話。九州男児の見本だ、と自分では思っている別府市役所の某掛長は露天風呂が大好きで、何キロも離れた風呂にもよく行くそうです。しかし、そこで京大の地球熱学研究施設の若い研究者達が「女の様に前を隠す」とおかんむり。「それとは逆に、近頃の女の子達は大胆に裸で歩き回って、全く困ったもんだ。」尤も秘書の人の話によると、この掛長、歩いて行ける所に大きな露天風呂が有るのに、態々単車で混浴の方に行くそうです。でも「先生だけにこっそりおそえちゃーたい」(注:秘書は博多育ち)という事でしたので、本当は書いてはいけなかったのでしょうか。甘く優しくやわらかく
「口から血を吐くぐらいやる」という言葉が好きな自分は、当然ながら厳しさの信奉者なのですが、最近の京大生は、厳しくすると女はふくれ男は怯えます。少子化とはいえ受験勉強は依然として一応厳しいし、いじめや校内暴力の嵐が吹き荒れる初等・中等教育を生き延びて来た彼らなのにと不思議だったのですが、家庭の平均所得等からも分かる様に、昨今の京大生はお坊ちゃんやお嬢ちゃんが大半になったからという説が有力です。男子学生も含め、受験戦争を生き抜いて来たにも拘らず、試験の点数以外では闘うとか争うとかいう事をあまり知らない子供が増えて来ました。
食堂でも固いおかずよりは軟らかいおかず、辛いおかずより甘いおかずが売れ筋だそうで、甘党の男の子も急増中だそうです。
50半ばになる教授の一人は、「男の癖に何とかパフェ。噛むと言う事を知らぬ。食う前から誰かが食って吐き出したみたいじゃないか。」これを聞いて思い出すのは、“Real Men Don't Eat Quiche”という一昔前のベストセラー。“Real men don't eat quiche because it looks like it has already been eaten.”が特に有名でした。すぐに涙を見せるのも、それを恥ずかしがらないのも、最近の男子学生の特徴です。実はびーむの先々月号に載った自分の半生のインタビューを読んで、可哀想と目に涙を滲ませる男子学生が居て驚いてしまったのですが、映画館等でも平気で涙をポロポロ流して泣く男が激増しているそうです。文献によると人前で泣く事を憚る世代は
40歳後半より年上の人達となっています。45歳の自分はぎりぎりで憚り世代に入る様です。今度機会が有ったら、アメリカでの苦労話などドラマチックな演出でやって、泣かせてみようかと企んでいるところです。旨く行ったら、御慰み。ここで発表します。兎に角、甘く・優しく・やわらかくの御時世ですから、女に好かれる男も当然女性的(?)で優しいのが全盛。これでは出る幕も無いと半分冗談で嘆いていたら、柔らかい物腰の電気工学の三回生(♂)が「その内、辛口がセクシーと言われる日も来るんじゃないの。先生にはもう遅いかも知れないけれど」と優しく慰めてくれました。限り無く甘い声で。目出度し。目出度し。合掌。
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