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(ぼくはTOEICを一度受験し、満点の990点でした。TOEFLよりはずっと易しいですが、大学受験の勉強だけで高得点が取れる試験ではないでしょう。)

TOEIC勉強法

以下は日本のTOEIC公式Web siteの記載です。

 

TOEICTest of English for International Communicationの略称で、国際コミュニケーション英語能力テストのことです。英語によるコミュニケーション能力をスコアで評価します。TOEICは英語によるコミュニケーション能力のレベルを正確に知りたいすべての人が利用できる信頼性の高いテストです。 TOEICはテスト開発に携わる機関として世界最大の規模とノウハウを持つアメリカのETS (Educational Testing Service)が開発しました。これまでに世界の約60カ国で実施され、2000年の受験者数は約200万人に上ります。 日本国内では昨年度の受験者数は128万人を数え、これまでの累計では898万人以上に及びます。また個人での受験のほかこれまでに約3,500以上の企業・団体・学校で採用されています。(引用終わり)

 

これからはっきりと分かることは、TOEICは圧倒的に日本人によって受験されているということです。母体はTOEFLと同じETSEducational Testing Service:本拠地はニュージャージー州プリンストン)ですが、この受験者の偏りが理由でアメリカではあまり知られていません。ぼくがアメリカに渡ったのは197912日で、ETSTOEICを作ったのもこの年なのですが、アメリカにいた20年の間に、TOEFLはたびたび話題になってもTOEICについてはその存在すら知りませんでした。ぼくがTOEICの存在を知ったのは、実は日本に帰って来てからなのです。ところで、第一回のTOEIC1979122日に実施され、2710人が受けたと聞いていますので、年間200万人以上が受験するという現状への急成長は驚愕の一語に尽きますね。

 

TOEFLは、はっきりとアメリカ留学を意識した試験であり、内容も大学や学生生活に関連した物が圧倒的ですが、TOEICはビジネスで英語を使う力を測るのをその目的としています。したがって出張とか会議とかビジネスレターとか新聞の広告とか、場面設定や題材もそれらしい物が中心です。手もとにある第58TOEIC研究会の資料を見ると、TOEIC1978年に北岡靖男というTime, Inc.の元アジア総支配人によってETSに提案されたとなっており、ビジネスマン向けの内容が多いのもうなずけます。しかし、TOEFLTOEICの違いは、それだけに止まらないのです。

 

TOEFLは聴解(Listening)・文法(Structure)と作文(Writing)・読解(Reading)の各セクションを持ち、受験には4時間ほどかかるのに対し、TOEICには聴解(Listening)と読解(Reading)の2セクションしか無く、合計時間もListening 45分とReading 75分で計2時間です。特に大きいのは作文が無いことで、TOEIC側は「それでも総合的な英語力が測れる。なぜならlisteningspeakingまたreadingwritingの間には強い相関関係が存在するからである」主張していますが、実際はどうなのでしょうか。ビジネス指向の内容だけでなく、時間も短ければ作文も無いという手軽さが日本人に受けているのではないかと、ついうがった見方をしてしまうのはぼくだけでしょうか。それから、TOEFLは東京や大阪ではCBTComputer Based Test、コンピューターで受けるテスト)に移行し、その他の地域でも移行準備中ですが、TOEICはペーパーテストのままです。情け無いことですが、日本人は極端にコンピューターに弱いので、それもTOEICの人気に拍車を掛けているのかも知れません。

 

企業は、昇進や就職に際してTOEICのスコアを要求したり参考にしたりはするが、TOEFLは話題にも上らない、だからTOEICを受けるのである、と言う方がたくさんおられ、それは非常にもっともなのですが、ぼくが英語に堪能な求人担当者などから聞いている事情は少し違います。彼らによると、「TOEICがビジネスに重点を置いているというのはそれはそうだが、英語力が十分に有れば内容がビジネスだろうが何だろうが問題は無い。技術的な話などはその分野の専門知識があった上で、日英両語で技術用語が使いこなせないといけないので、かなり大変であるが、ビジネスの会話なんて知れている。要はしっかりとした英語力を測りたいだけなのであるが、ほとんどの日本人にはTOEFLはむずかし過ぎる。みんな点が低くて差が付かないので比べようが無い。それに少しくらい勉強してもそれが簡単には点数に反映されないので、社員の励みにならない」のだそうです。要するに英語力の乏しい日本人にはやさしいTOEICの方が取っ付きやすいので、TOEICにしている訳です。実際、ぼく自身ろくに準備もしないで受けた一回目のTOEICで満点を取り、TOEFLよりも全体的に易しいというのは、はっきりと感じました。もう一歩踏み込んで、「それでは企業も本当はTOEFL希望なのか」と尋ねてみますと、「いや、そこまでは考えていないが、作文が入っているのは大きな魅力である」とのお答えです。もうすぐTOEFLspeakingが入るそうですので、そうなったら振り子はTOEFLの方に大きく振れるかも知れません。但し、「求人担当者が必ずしもその辺の事情を熟知しているとは限らず、英語に堪能な求人担当など普通はいないので、無条件に『とにかくTOEICしか駄目だ』と言われる恐れは大いに有りますよ」との事です。最後に教育者としてのぼくの意見を付け加えさせていただきます。確かにTOEICの方が易しいですが、上級の英語力が有る人でも満点が取れる訳ではありません。TOEFLでなかなか点が伸びずにいじけるよりは、TOEICでどんどん点が伸びた方がやる気も出ると思いますので、英語の基礎体力に自信が無い人は、まずTOEICを頑張られてはいかがでしょうか。実力が付いて来たら作文もあるTOEFLに挑戦するという楽しみもありますし。まあ、これは私見に過ぎませんが。

 

とはいえ、TOEICの高得点者を完全に侮ってはいけません。TOEIC公式サイトで公表されている点数別英語力は以下の通りです。

 

Aレベル・TOEICスコア860点以上は、

Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる。

自己の経験の範囲内では、専門外の話題に対しても十分な理解とふさわしい表現が出来る。Native Speakerの域には一歩隔たりがあるとはいえ、語彙・文法・構文のいずれをも正確に把握し、流暢に駆使する力を持っている。

 

Bレベル・TOEICスコア730点以上、860点未満

どんな状況でも適切なコミュニケーションが出来る素地を備えている。

通常会話は完全に理解でき、応答もはやい。話題が特定分野にわたっても、対応できる力を持っている。業務上も大きな支障はない。正確さと流暢さは個人差があり、文法・構文上の誤りが見受けられる場合もあるが、意思疎通を妨げるほどではない。

 

Cレベル・TOIECスコア470点以上、730点未満

日常会話のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる。

通常会話であれば、要点を理解し、応答にも支障はない。複雑な場面における的確な対応や意思疎通になると、巧拙の差が見られる。基本的な文法・構文は身についていおり、基本力の不足はあっても、ともかく自己の意思を使える語彙を備えている。

 

Dレベル・TOEICスコア220点以上、470点未満

通常会話で最低限のコミュニケーションができる。

ゆっくり話してもらうか、繰り返しや言い換えをしてもらえば、簡単な会話はできる。身近な話題であれば応答も可能である。語彙・文法・構文ともに不十分なところは多いが、相手がNon-Nativeに特別な配慮をしてくれる場合には、意思疎通をはかることができる。

 

Eレベル・TOEICスコア220点未満 

コミュニケーションができるまでに至っていない。

単純な会話をゆっくり話してもらっても、部分的にしか理解できない。断片的に単語を並べる程度で、実質的な意思疎通の役には立たない。

 

さて、TOEICの受験勉強ですが、基本的にはインプット側だけの訓練になります。しかし、勉強法の詳細に進む前にListeningReadingのセクションの内容を、少し細かく見てみましょう。なお、以下はTOEICの公式サイト

http://www.toeic.or.jp/toeic/exam/main.html

の情報に基づいています。

 

Listening Section 100

Part IからPart IVまで4系統の問題があります。

 

Part I 写真描写問題 20
1つの写真について、4つの英文から内容を最もよく表しているものを1つだけ選ぶ。
Part II
 応答問題 30
短い質問文に対して3つの英文の中から、答えとして最も適切なものを1つだけ選ぶ。

Part III 会話問題 30
短い会話に関する質問を読んで、答えとして最も適切なものを、4つの中から選ぶ。質問と答えの選択肢は問題用紙に印刷されている。
Part IV
 説明文問題 20
長めの英文に関する質問を読んで、答えとして最も適切なものを、4つの中から選ぶ。質問と答えの選択肢は問題用紙に印刷されている。1つの英文について2つまたは3つ質問がある。

 

Reading Section 100

Part VからPart VIIまで3系統の問題があります。

 

Part V 空所補充問題 40
空所に最も適する語を4つの選択肢から選びます。内容は、文法・語彙・熟語・前置詞などです。
Part VI
 誤文訂正問題 20
文中の4つの下線部から文法的・語法的に正しくないものを1つ選びます。文法・語彙・熟語・前置詞などの知識が必要です。 
Part VII
 長文読解問題 40
問題用紙に印刷された長文を読み、内容に関する質問に対する答えとして最も適切なものを4つの中から選びます。長文1つにつき2つまたは3つの質問があります。

解答は全てマークシート方式です。選択肢の数は普通は4つですが、Part IIのみ3つになっています。

 

TOEFLのようにWriting Sectionがありませんので、やり易い反面Listening Sectionの配点率が上がってなんと50%です。特にPart IVは流れて来る英文の一つ一つが長いので、一つの単語に引っ掛かっただけで悲劇的結果になる恐れがあります。

 

では、対策を見てみましょう。TOEFLと同じく、模擬テストの問題を多数こなす事が最良のテスト対策である事は疑う余地も有りませんし、基礎的な語彙力や聴解力と文法事項の基本が身についていなければ、高得点は望めません。これらは言うまでも無いことですので、ここではTOEICの問題に特化した訓練法や留意事項を中心にお話してゆきます。TOEFL対策と重なる部分が多いので、TOEICだけを受験される方も、ぜひそちらの方も読んでみて下さい。ところで、TOEICTOEFLよりずっと易しいと言いましたが、一つだけ例外が有ります。それはスピードです。TOEICの父とも言える北岡敏男氏の口癖は「真のTOEIC対策は、問題形式に十分慣れることと、実力をつけることしかない。実力とは、スピード対応能力!」というものだったそうで。「深い理解よりもすばやい理解が求められているな」と感じた箇所が、ぼくの試験でも幾つも有りました。実際聴解のセクションで次から次へとやってくる問題に、「えっ、なんやてぇ?今なにゆうてはってん?もう次かい。速いなぁ、ほんまに。こらかなんなぁ。こんな速いのんあかんでぇ〜。」(ぼくは日本語に関して関西弁と関東弁のバイリンガルですが、ネイティブモードは大阪弁ですので、慌てたりすると完全に大阪弁になります。)と感じた事が何度もありました。正しい答えがどれか考えるというよりは、反射神経(reflex)を試されている感じがしました。又、読解のセクションも、ネイティブと比べてもそんなには変らないスピードで読める筈のぼくが、しっかりと読んでいては時間不足で、内容だけをつかむ読み方が要求されているようでした。国語のような読解問題が出るので、本当にしっかりと読まねばならないのに、それでも時間が余るTOEFLの読解セクションとは大違いです。因みに、そういう事情でTOEICの聴解セクションは全問正解ではなかったと思いますが、三つ四つ間違っても満点の495点が出るというのがTOEICの特徴みたいです。さあ行きますよ、傾向と対策です。

 

Listening Section

既述ですが、TOEICの問題の半分は聴解です。基礎的な聴解力が身についていない人は、まずその訓練をしないと、小手先のTOEIC対策だけで高得点をあげようとするのは虫が良すぎます。まずそこを理解してください。その反面、内容的には易しいので、聴解力が有ればテスト対策その物に時間をかけなくても高得点が期待できます。正直者も得をする仕組みなのです。

 

Part I 写真描写問題 20
1つの写真について、4つの英文から内容を最もよく表しているものを1つだけ選ぶ。

このセクションだけはTOEFLと大幅に違います。TOEFLでも短い会話に写真が付いて来ますが、場面設定の一助という程度で、ちらっと見れば十分です。ところがTOEICの写真描写問題は写真の内容その物についての英文から最適の物を選ばねばならないので、流れてくる英文を聴きながら写真もしっかりと見なければなりません。ここでのお勧めは以下の様なやり方です。これは一例に過ぎないのですが、自分のやり方を編み出す上での参考にして頂ければ幸いです。他のセクションは純粋に聴解力が有れば十分だと思いますが、このセクションはちょっと毛色が違うので、詳しく攻略法を説明させてください。一番最初につまづくと、テスト全体への悪影響も心配ですから。

 

ステップ1:英語が流れて来る前に、ちらっと写真を見て全容をつかむ努力をします。場所はどこか、誰・何が出ているか、何をしているか等「いつ、どこで、誰が、なにを、なぜ、どうした」の概要をソッコーでつかむのです。中でも、位置関係、数、動作が三つのキーだと思われます。たとえば「車が5,6台がら空きの大きな駐車場に止まっている」とか「人が傘をさして建物に出入りしている」とかですが、それだけでもしっかりと意識の片隅に置いておけば、主語を聞いただけで何が続きそうか分かったりします。さらに看板や道路標識もしっかりと見てください。つまり漫然と見ないという事、それだけです。この部分はほとんど英語力に関係がありませんので、純粋なTOEIC対策と諦めて訓練を積みましょう。比較的点の低い人の中には、この訓練だけで大幅に点が伸びた人がいるそうですよ。しかし、高得点を目指している人は、詳細も一瞬にしてつかめなければなりません。たとえば、車は同じ方向を向いて止まっているとか、傘ではなくレインコートの人が一人いるとか、雨は降っているようだが地面はあまり濡れていない(つまり、降り出したばかりらしい)とか、そういう情報を抽出してから英文を待つのです。Anticipation(予測)の力は偉大です。なお、上にも書きましたが、この部分は英語力を正確に反映しない様な気がして、TOEICに電話で尋ねてみたところ、「同じテストの他の部分の成績との相関を調べ、はずれ値(outlier)と呼ばれる望ましくない問題にはそれなりの対応をしている」との返事でした。それなりの対応と言うのは将来の試験においてという意味かも知れませんが、どうでしょうか。

 

ステップ2:写真の内容を覚えろと言いましたが、あくまでも「意識の片隅」にビジュアル情報の概要を置いておくだけです。英文が始まったらそちらに集中し、今度は写真の中でそれぞれの文に関係のある所を探します。もちろん全体についての描写である場合も多いですから注意が必要ですが、この段階ではっきりと間違っていると分かる物はその場で捨てます。なぜか分かりませんが、TOEICでは問題用紙に書き込ませてくれないので、ぼくは仕方なく指で候補を絞っておきました。これについては、「問題用紙に書き込んだからといって、失格(disqualification)の憂き目を見た人の話は聞いた事が無い。少しくらい書き込んでも大丈夫なので、安心して書き込もう」と謳っているホームページも有りますので、各自の判断にお任せします。(この書き込みの是非についてはとても気になったので、日本のTOEIC運営委員会に電話で問い合わせてみました。彼らの回答をこの章の最後に付録としてつけておきました。)この段階で少なくとも二つははじいてください。はっきりと間違いと分かる物が、絶対に二つはあるはずです。それが出来ない人は、聴解力がまだ熟していない可能性が高いので、基礎的な聴解訓練をTOEICの勉強と並行して続けてください。実際には、瞬時にしてはっきりと間違いだと分かる物が三つ入っている問題もたくさんあるのですよ。

 

ステップ3:ステップ2までで答えられるのが理想ですが、二つくらい正解の候補が出る事は考えられます。ここで写真を見ながら速考しましょう。何も気づく事が無ければ「エイヤ!」とランダム選択です。先ほども書きましたが、三つ四つ間違っても満点というセクションですから、一つの問題にこだわってはいけません。くれぐれもここで熟考したりくよくよしたりして次の問題に悪影響が出ないように。二つにまで絞れれば正答確率は5割、「イチローだって3割台の打率なんだから」とでも考えて気楽に気楽に。

 

ステップ4:瞬時に次の問題のための心の準備をします。設問と設問の間は5秒らしいので、答えの即断とマークシートへの書き込みはさっさと済ませないと、写真をあらかじめ見る事が出来なくなります。

 

以上です。単純過ぎて申し訳有りませんが、写真の全容と概要を瞬時につかむというのは、そういう意識が常時強く働いていないとなかなか出来ませんよ。人間はもともとファジーロジック(fuzzy logic=ファジー理論)の生き物ですから、人の顔全体を識別する事はできても、細かい特徴までは覚えていない事なんてしょっちゅうです。「藤本美貴は可愛い」というのには全員同意したとしても、「ところで藤本美貴のほくろは口より上だったっけ下だったっけ」などという質問には答えられない人がほとんどだったりします。(実際に彼女にほくろがあったかどうかは忘れました。これはぼくがデッチアゲタ質問です。ところで、松浦亜弥がモー娘に入るのはいつかという質問にも答えられませんが、それはまた別な話。 笑)TOEICの問題はそこを鋭く突いて来ます。「雨が降って嫌ですね」とか「この駐車場すいてますね」とか言うかわりに、「全員傘をさしています」(実は一人はさしていない)とか「車が二台同じ方向を向いています」(実は互い違いの方向に頭を向けて駐車している)とか言われるので困るんです。

 

聴解の残りのセクションについては、TOEFLの問題ととてもよく似ていますが、レベルはTOEFLよりかなり低いです。根拠は全く分かりませんが、某英語学校は「TOEFLTOEIC1.5倍の難しさ」だと言っています。確かに文も短ければ選択肢にも分かりやすい物が多いので、純粋に聴解力で勝負できるはずで、そういう意味では小手先の技術はいらないと思います。TOEFLでは会話の後で「さて、この後彼は何をしたでしょう」などという「クセ球」(つまり、文中には無いので文意から予測しなければならず、変化球の動きを予測するようで時にちょっとたいへん)がしょっちゅう飛んで来ますが、TOEICの問題は会話や説明文ではっきりと述べられている事について尋ねて来るので、正しい聴解がすべてです。


Part II
 応答問題 30
短い質問文に対して3つの英文の中から、答えとして最も適切なものを1つだけ選ぶ。

これは基礎的聴解力と表現力のある人には楽勝です。質問文の一部と比べただけで、答えとしては完全におかしいと分かる英文の方が多いくらいです。テレビやラジオの初級英会話を聴ける人ならだいたい出来るのではないでしょうか。選択肢が3つなので、ランダムにやっても当たる確率の高いセクションですが、基礎的聴解力があれば迷う事は少なく、こわざを使わなくても純粋な英語力だけで十分正解出来ると思います。一つ一つの文は短く、選択肢を含めても12秒程度で一問が完結します。Whywhatdo youなど質問の出だしの言葉に注目されることを特にお勧めします。

 

Part III 会話問題 30
短い会話に関する質問を読んで、答えとして最も適切なものを、4つの中から選ぶ。質問と答えの選択肢は問題用紙に印刷されている。

Part IIよりは込み入って来ます。会話の内容の大事な部分を理解しないといけないので、そのガイドラインとして質問と選択肢をあらかじめ見ておく事をお勧めしますが、質問を優先します。問題と問題の間のポーズは8秒なので、選択肢の方はあくまでもちらっと見です。個人差がありうるとはいえ、英文が読まれる前に質問文と選択肢の全体をじっくりと眺める事は不可能ですから、特に選択肢についてはキーワードを見る程度にとどめます。(注:PartIIIが始まる前に、30秒ほど説明文が流れますが、この時に最初の幾つかの質問と選択肢をチェックできます。でも、こんなに時間が有るのはこの時だけです。)質問文の中のwhatwhenを見るだけでも、大きな手掛かりになりますので、その程度でも十分です。完璧に質問文をつかむ方に気を取られて、会話そのものに集中できないという事態だけは絶対に避けたい物です。ましてや選択肢をあらかじめしっかりと見ておくなどと言うのは普通の人にはほぼ不可能ですので、あなたが「普通の人」でしたら、それは忘れてください。これは短い会話なので、聴解が出来れば、会話全体を質問に答えるのに必要な短い時間だけ短期記憶として頭に止めておくことは難しくありません。「覚えられない!」と泣きついてくる人は、だいたい聴解力そのものが弱い人です。会話と質問と選択肢全体が20秒弱で読み上げられるのですから、その短さが良く分かると思います。典型的な問題はこんな感じです。

 

Do you have single rooms available this weekend?

How many rooms do you need, sir?

We need three.

Question: Where is this conversation taking place?

(A) At a hospital.

(B) At a school.

(C) At a hotel.

今週末シングルの部屋は空いていますか?

何人様でしょうか?

三人です。

質問:この会話はどこでなされていますか。

(A) 病院です。

(B) 学校です。

(C) ホテルです。

 

日本語バージョンを見ると、ぼくが覚えられると言う理由が良く分かって頂けると思います。英語で聞くから複雑に思えるのでしょうが、本当はこのようにとても単純な会話なのです。


Part IV
 説明文問題 20
長めの英文に関する質問を読んで、答えとして最も適切なものを、4つの中から選ぶ。質問と答えの選択肢は問題用紙に印刷されている。1つの英文について2つまたは3つ質問がある。

Part IVの最初に、25秒間ほど問題や答え方の説明が流れます。この時に質問と選択肢を幾つかチェックできますが、こんなに時間があるのは最初だけです。答えをすばやく書き込み、問題と問題の間のポーズは、次の質問をあらかじめ見ておくために最大限活用して下さい。但し、複数の質問があるので全部は把握しきれない恐れも有ります。これへの対応として、選択肢を見て時間や固有名詞を含む場所の名前などを尋ねている様に見える物が有れば、その質問に特に注意を払ってください。説明文は10秒くらいの物から40秒近い物まである様ですが、詳細についての質問以外つまり大まかな内容についての質問なら、聴解が出来れば答えられます。特に覚える努力を要するのは、時間や場所など具体的な詳細だけです。因みにTOEFLでは、2,3分からそれ以上にも及ぶような講義(彼らはshort lectureと呼んでいます。確かに講義だと考えると短いのですが。)が出て来ます。メモを取る事は許されていませんが、設問のほとんどが内容についてのものなので、講義が理解できれば比較的容易に答えることができます。TOEICでも、時間などの詳細の質問よりも「午後はどこへ行きますか」とか内容が分かれば答えられる質問の方が遥かに多いので、すべての質問を把握する前にテープが始まってしまってもパニックに陥るのは禁物です。一番大切なのは質問のチェックではなく説明文の内容の理解なのですから、そちらに精神を集中させましょう。満点を狙っている人はともかく、少数しか無い詳細の質問を落とす事によるダメージは本当に知れているのですから。もっとも、満点をねらうほど聴解力の有る人なら、30秒足らずのトークの詳細くらい余裕で覚えられると思いますから、結局質問内容の詳細チェックにピリピリ神経を尖らせなければならない人はいないとも言えますね。自己矛盾に聞こえるでしょうけれど。

 

Reading Section

75分間で100問に答えます。テープが無いので、ある意味マイペースですが、ここでのマイペースは文字通り自分でペースを決めるという意味であって、ゆっくりとやるという意味ではありません。京大生も含め、最後の長文読解のところで時間が足りなくなる人が非常に多いようですから、適当なペース配分と回答スピード向上のための訓練が必要です。Part VPart VIについては、模擬試験や問題集を多数こなすことによる「慣れ」と文法・語彙・表現・熟語・前置詞などの知識の確立を通して処理速度の改善を図る事、Part VIIについては、四技能の章で説明したように「頭からその順序で英文を理解する」訓練によって理解のレベルとスピードを向上させる事が大切でしょう。Part VPart VIで高速処理が出来れば、Part VIIに避ける時間が増えますし、その逆もまた真なりです。ここでも相乗効果を目指してください。

 

Part VPart VIは大学受験程度の知識があれば正解できるものがほとんどですが、そう言い切ってしまうと身も蓋も無いので、「まあそうおっしゃらずに」と言うわけで、両セクションをまとめてアドバイスさせていただきます。

 

Part V 空所補充問題 40
空所に最も適する語を4つの選択肢から選びます。内容は、文法・語彙・熟語・前置詞などです。
Part VI
 誤文訂正問題 20
文中の4つの下線部から文法的・語法的に正しくないものを1つ選びます。文法・語彙・熟語・前置詞などの知識が必要です。 

まず、選択肢を気にせずに全体を読み、意味をとらえます。次に、文中での役割からつじつまが合うか考えながら答えを選ぶのですが、その際に品詞・語尾・時制・主語と動詞の一致などに特に気をつけます。たいていの場合四つのうち二つくらいはすぐに消せますから、最悪の場合でも「エイヤ!」で選ぶ蛮勇を身に付けてください。これはぼくだけではありませんが、高得点者ほど半ば「感覚的」に答えを選ぶ傾向があります。文の内容を解析するよりは、「どれが正しく響くかな」と考えるだけでなんとなく、しかし確信を持って、答えが出てくるのが本物の英語力なのです。将棋の羽生喜治さんは、「なぜ優勢かは分からないのだが、昼飯の後辺りから優勢になって来たと*感*じた」といったコメントをよく出されますが、これが玄人の味なのでしょうね。もっとも、これは我々が正しい日本語を喋る過程を考えれば明らかですよね。文法的解析なんて誰もしませんから。解析しなくても文法の知識が正しく使えるのが、本当の運用能力なのでしょうね。どんどん感覚で判断してください。それがスピードアップにもつながりますから。「これは間違い。だっておかしいわよ。使わないでしょう、こんな表現。」、とまあ頭の中はこんな感じです(女ならね。笑)。なお、このあたりについては「英語における方向感覚」のところでもっと詳しく述べています。


Part VII
 長文読解問題 40
問題用紙に印刷された長文を読み、内容に関する質問に対する答えとして最も適切なものを4つの中から選びます。長文1つにつき2つまたは3つの質問があります。
まず頭から英文を理解する力に支えられた速読力(日本人としてはどんどん読めるというだけですが)が基盤として無ければなりませんが、ここではTOEICの特殊性に対応するための戦略をお話しましょう。TOEICの特殊性とは与えられた時間が少ない事と、事実を尋ねる問題ばかりであって、深い読みを要求するいわゆる「国語」のような読解問題は無いと言う事です。以下はTOEICが要求する浅く速い読み方に基づいた問題の解き方です。

l        長文が始まる前に“Questions 161-162 refer to the following letter.”などと書かれている。この情報と体裁や最初の1,2行から「新聞の広告」とか「ソーシャルクラブからメンバーへの手紙」とか内容を判断する。

l        設問を簡単に見て、何が問われているかをつかむ。

l        設問への答えがどこにありそうか考えながら、本文の概要をつかむため大雑把に読む。

l        設問の答えを見つけるために流し読みをし、該当箇所だけをゆっくりと読む。

なお、選択肢を見る前に、自分で答えを考える事を推奨している参考書が多いのですが、ぼくはあらかじめちらっと見る方ですね、見当違いの方向には進んで行かないように。くり返しになりますが、深い読み方を要するTOEFLの読解セクションで20分も30分も時間の余るぼくが、TOEICでは時間不足気味だったのですから、

 

総括

TOEICの特徴をより良く理解するために、英検やTOEFLと比較してみましょう。ぼくは英検を受験英語の知識+αと表現力を要求するテスト、TOEFLを作文力を含む高く深みのある英語力と体力を要するテスト、TOEICを実用英語への慣れと反射神経を要するテストと位置づけています。英語検定についてはちょっと単純化し過ぎているかも知れませんが、これを見るとTOEICの際立った特徴が反応の速度を要求する事であるのが分かると思います。これが理由で「TOEICは質より量の試験だ」と悪口を言う人もいますが、少なくともぼくは質が悪いなどとは感じません。テストの対象が違うのですから、問題がTOEFLより易しい事と、質の問題とはまったく別でしょう。それよりスピードが要求される事の方が受験対策を立てる上では大切です。出題者が「考え込まないと答えられないような英語力では駄目である」という態度をはっきりと示している以上、基礎力の確立と出題形式への慣れによって、対応して行くしかありません。受験英語がしっかりと身に付いている人なら、形式への慣れだけで600点は超えられるそうですが、そこから先は100点ごとに一段上の本当の実力(=英語運用能力)が要求されると言われています。TOEFLは英語の難しさで実力を測り、TOEICは処理能力で実力を測るとも言えますが、TOEFLの受験勉強はしてもTOEICの勉強はした事の無いぼくが、高得点だったのを見ても、「処理能力で実力を測る」アプローチも一つのやり方としてアリだと思いました。

 

最後にTOEIC受験について雑談的アドバイスを一つ。放送時間の関係でぼくが一年に一度くらいしか見ない番組に「徹子の部屋」というのがあります。197622日から続いているという、あの有名な黒柳徹子さんの長寿番組です。その一年に一回しか見ない番組の*2003年分*を一月にたまたま見たのですが、ゲストはアメリカ大リーグシアトル・マリナーズで活躍している長谷川滋利さんでした。長谷川さんは「チャンスに勝つ ピンチで負けない 自分管理術」と言う本の著者で、「トレーニングと言うとみんな筋トレや打撃・守備・投球の練習を考えるようですが、メンタルトレーニングがもっと大切なのです。テレビでも分かると思いますが、ピンチでもぼくはニコニコしているでしょう。大リーガーなんて実力はみんな紙一重、あの余裕で差が出るんですよ」とおっしゃっていました。スピードを要求するTOEICでは次々と問題が出て来て、一つおかしくなると回答のリズムが狂いがちです。ぼくですらあせった場面もありました。しかし、少しくらい間違いがあっても点数上は満点が出る試験ですから、メンタル面での強さ(mental strength)はとても大切。答えが分からなくてもにっこり笑って全力投球を続けるという、そういう受験力も大切みたいですよ。ぼく自身もこれはまだ出来ないのですが。

 

付録:問題用紙への書き込みについて

TOEICを受けると、問題用紙に書き込むなと言われますが、TOEIC関係の色々なサイトや書物を見ると「少しぐらい書き込んでも、それが理由で失格になった話など聞いた事が無い」と、ある程度の書き込み奨励とも取れる発言が目立ちます。実際はどうなのでしょうか。テープから流れて来る英語の要旨を書き留めたりするのは問題外としても、多肢選択で項目の左に印を付けたりするのもいけないのでしょうか。この辺を東京のTOEIC運営委員会に電話で尋ねてみました。

 

結論から言いますと、「印をつける事も含め、一切の書き込みは認めない」というのが、彼らの公式見解(official line)です。その理由として「TOEICはコミュニケーション能力をはかるテストであり、実際のコミュニケーションでは書き込みなんてできませんから」と仰っていました。それはそうかも知れませんが、そんな事を言うなら、実社会のコミュニケーションではクイズ番組にでも出ない限り、絵を見てそれを正しく表す英語を選んだりは滅多にしませんし、だいたいinput(読む・聴く)だけでoutput(書く・話す)の無いコミュニケーションなんて有りませんので、ちょっと屁理屈くさいですね。それよりもっと本音かつ本当の理由に近いのはこちらの方の説明(別な人ですが、同じ電話でした。)ではないでしょうか。「TOEFLがまだペーパーバージョンだけだった時、世界中で同一条件を維持するためにはどうすべきかとの議論が生じ、『印を付けるくらいなら良し』などというルールにしてもそれを徹底する事は出来ないので、書き込みは全て禁止という形になったのではないか。後発のTOEICはおそらくそれを踏襲しただけであろう。TOEFLは受験者の便宜よりもそのスコアを大学が信頼してくれる事を第一に考えて作られた。書込み禁止などの基準・条件統一もその一端である。TOEICでは受験者の声をもう少し反映しても良いとは思う。印を付ける代わりに指を折って目印とする大人の受験者の姿は確かに滑稽ですらある。自分も受験時にはそうしたのだが。」なるほど、指折りはぼくもやりましたが、皆考える事は同じなのですね。

 

で、周りの受験経験者に尋ねてみると、そっと鉛筆で印をつけたりしていた人が殆どですが、それで失格になった人は居ないようです。こういうのを英語ではdouble standard(二重標準)と言って、これでは正直者が馬鹿を見てしまいます。ですから、ぼくなりの結論としては、「少しくらい印をつけても咎められないようだし、みんなやっているようです。それなら、あなたもそれくらいやってもいいんじゃないですか。ぼくがその責任を取る事はできませんが。」となります。実際、ぼく自身がTOEICの点で就職や昇進を左右される状況下に在ったとしたら、それくらいはズルとは考えないでしょうね。印を付けずに正解できる力は、英語力には直接関係しないわけですし。